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2020/1/8

会議録

 1月8日に「電子酒販店 南出」さんのお店で会議を執り行わせていただきました。 様々議題にしたい内容などもありましたが、今回の会議での議題としまして「在庫確保」について注力させていただきました。

やはり今、酒販店の皆様が一番お困りになっていらっしゃる点といたしまして、「在庫確保」という問題点は早急に解決を付けていかなくてはなりません。 この課題を如何に解決を付けていくかで、今後の店舗運営に密接にかかわってくると感じました。


①品揃えを常に確保できるルートを確立したい


今、酒販小売店で「こんな状況が発生している!」「ここは本当に困る点ですよね」という状況を把握すると、以下の状況などではないでしょうか?

  • 事案1:小売店が商品を問屋に発注しても、「小売店が考える単位」での入荷が困難な場合が多く、問屋が商品を配達したくても出来ない→商品が入荷されない→販売ができない
  • 事案2:商品が入荷されない→在庫としてのストックに影響が出る→最終顧客が離れていく


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何故そういう現状になってしまうのか?を考えると、原因は「こんな事が原因では?(以下記述)」と思います。


  • 原因1:問屋自体が、場合によっては「幅広い商品を品ぞろえ出来ない」ことがある
  • 原因2:問屋が、販売特性上「普段から売れる商品」「ケース単位で配達が出来る商品」のみの品揃えに偏ってしまう
  • 原因3:問屋が業務上、ルート配達での効率を重視しているため、まとまった量に到達して初めて配達を行う

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やはり、商品を販売していく中で「需要と供給」を保つこと一番の課題ですが、悪循環に陥ってしまうと現状打破が難しくなってきます。 上記のような状況が継続すると、今後の展開パターンとして「もしかして、こうなるのではないか?」と考えられます。

  • 現象1:卸売り商品の出荷が細る
  • 現象2:小売店に商品が思うように入ってこない
  • 現象3:販売する商品が少ない為、機会損失が発生する
  • 現象4:機会損失によって顧客信頼を失っていく
  • 現象5:顧客離れが加速していく
  • 現象6:問屋が販売特性上「纏めて買ってくれる小売店」を優遇してしまいがち
  • 現象7:どんどん商品が入ってこない環境が整ってしまう

→結果:小売店から商品アイテム数が減少してしまう


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 これは可能性として考えられる一つの未来像ですが、本当に起こってしまいそうな悪循環です。 このような現象に陥ってしまった場合、如何に食い止めることが出来るかがポイントとなると思います。

 そこでまず大切なこととしては、「今現在の状況」をしっかり見極めて問題点を吟味し、それを解決していく術を模索することから始まるのではないでしょうか? 会議の内容でいろいろなご意見をいただきましたが、特に重要な点としては以下の4点となりました。

  • 現状1:自店舗、もしくは自店チェーン店のみで在庫を共有することによって、「力のある販売店」のみが跋扈し、「力の少ない販売店」の弱体化が進む
  • 現状2:自店舗、もしくは自店チェーン店の許す限りのエリアのみでの販売(市町村)で固定客をつかむことが難しくなっている
  • 現状3:販売力の低下してしまった店舗は、「問屋で許す限り」の商品品揃えしかできなくなっている
  • 現状4:商品仕入れで「バラは単価が高い」「ロットにまとめると、仕入れ代が安い」ことにより、ロットでまとめて仕入れをしがちになってしまうことが原因で「売れ筋商品のみの仕入れ」に偏ってしまう
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上記の現状を踏まえるとやはり、仕入れの先細りが原因で「販売の機会損失」が生じてしまい、「仕入れ業務」や「商圏の確保」にも影響が出てき始めているのではないかと思われます。 しかし、「何もしない」では現状を打破することも難しくなろうかと思います。そこで、皆様のいろいろな案を取り入れる中で「こうしてみてはいいのではないか?」という案を纏めさせていただきました。

  • 提案1:自店のみの仕入れにこだわらず、「仕入れの共有」を目指す
  • 提案2:近隣店舗でチームを作り、チームリーダー店での仕入れ受け取りをお願いし、各チームがチームリーダー店まで商品を引き取りに行く


 提案1および提案2としまして「仕入れの共有」とさせていただいたのですが、これは「みなさまで仕入れを共有」してみようという試みとなります。 問屋からの商品流通を小売りが受けるにあたり、個店で発注をかけると「バラは不可」「ケース単位で」という答えが返ってくる場合があります。 この弱点を補うために「チームリーダー店や個店が一丸となり、個店の集合体として仕入れの共有」をさせていただき、チームで仕入れを執り行う事により、商品の確保が出来る(仕入れの共有)ようになるのではないか?と考えました。


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もちろん、上記を行わせていただくことにおいて各店舗様に仕入れ在庫を配分していただくわけですが、配分を行う事についての問題点も発生してしまいます。


「商品をいかにしてチームリーダー店から各店に配分するのか?」


という問題点です。


店舗様の状況を鑑み、とりあえず近隣店舗(各店が保有する、配達用の車両で行き来できる範囲)で分配を行うことにより課題を克服できればと現段階では考えております。もしくは、車両を持ち合わせていらっしゃらない店舗様への配慮も、今後必要になってくるのではないかと思います。現状としては、配達範囲内にあるリーダー店に仕入れ商品を取りに行くことが出来れば、有効な手段だというご意見が多かったです。


 他に考えられる課題点としては、以下となります。


  • A:全国区でよく売れている商品は、お客様としては価値の相場がわかりやすいので、買いやすい→〇
  • B:全国区でよく売れている商品は、販売店としては利益が少ないので、販売に注力しても利益が出にくい→△
  • C:全国で地酒などの無名の商品は、お客様としては価値の相場がわかりにくいので、買いづらい→△
  • D:全国で地酒などの無名の商品は、販売店としては価値を出しやすいので、販売に注力すると利益を出しやすい→〇


 これは、「商品の特性上」の問題点となります。やはり、有名な商品は「いかにして現在、有名な商品になったのか?」ということに尽きます。販売金額にも一定の「定着」が散見されます。果たして、その「有名な商品」のみの販売のみに特化していていいものでしょうか?


D:「無名(知る人ぞ知る)商品」などは、手に入りにくい反面、店舗様での宣伝方法などにより「販売数が大きく変わる可能性」を秘めています。そこに商機を見出し販売を行うことによって利益を確保していきたいものです。

 主に注力したい商品カテゴリーとしては、もちろん「D」ではありますが、「D」もなかなかバラで入荷することが困難な場合があります。ひいては、お客様から指名があったとしても販売ルートに商品ラインナップが存在しないであったり、商品ラインナップに存在はするが「受注発注」の状態で「いつ入荷するのか?のお約束」をお客様に言明しづらい特性があります。


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 上記のことも踏まえて、「チームリーダー店や個店が一丸となり、個店の集合体として仕入れの共有」を行うことによって「バラ単位→ケース単位」での仕入れも可能となってきますので、商品のラインナップに厚みをもたらすことも出来ると考えました。

例)6本1ケースの場合


  • ※1店舗で仕入れ共有していた場合は、仕入れ自体が難しい(もしくは売れ残ってしまった商品はデットストックになる可能性が高い)
  • ※10店舗で仕入れ共有していた場合は、各店の本数を合わせても、ゆうに6本を消化できるということになります。
  • ※20店舗で仕入れ共有していた場合は、各店の本数を合わせても、ゆうに12本入りのケースであったとしても消化できるということになります。

もし、消化しきれなかったものがあったとしても全店で一丸となって販売していくことにより、「売れ残り」のリスクを軽減させることにもつながり、「デットストック撲滅」に一役買う形となるのではないでしょうか? こういった細かい点についても、メリットは大きいと思います。結果、単店舗でのマーケットに比べると「参加店すべてを合わせたマーケット」自体が極端に大きくなり、それに比例して「仕入れする力」も大きくなります。

 しかも単店舗での負担が極端に小さくなります。参加店舗様が多ければ多いほど、効果ベクトルは大きいと思いますし、出来る幅が相当広がっていくと思います。そして、現状では不可能な事案も解決できる場面が増えると予想されます。 もちろん、小売店様のみではなく問屋様にも「商品ラインナップ増大」「デットストック撲滅」効果が期待できると確信しております。


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以上が

「Market aggregation(マーケット・アグリゲーション/集合体としてのマーケット)」

の提案となります。


②お客様に知らせる宣伝力強化を図っていきたい


昨今の現状を鑑み、お客様における「趣味趣向・購入方法」などが様変わりしつつあります。したがってその「お客様に合わせた趣味趣向・購入方法」に準じた個店の用意が必要となって来ているのではないでしょうか?そして、最終顧客のお客様としては「購入動機の二極化」が進んできつつあるので、この点についても個店・団体で対応できるようにしていきたいものです。


「購入動機の二極化」一例として考えられるパターン


  • A:いつもと同じ商品で、金額も把握している→同じ商品であれば、金額が安く手に入ればそれに越したことがない(常連客・「質より量」と考えるお客様に多いパターン)
  • B:金額が決定打になることなく、商品の価値・味・品質などで購入動機が発生する→「おいしかった」「思い出に残る商品を手に入れることが出来た」「遠いところで生産されている商品なので、お住いの現地ではなかなか手に入らない」→趣向に合致する商品であればそれに越したことがない(贈答品・コアな趣向・リピーターなどに多いパターン)


上記パターンに当てはまるお客様への対処、販売店の思惑


Aのお客様について

  • 販売側メリット:商品仕入れ管理や販売についてブレがなく販売は非常に行いやすい
  • 販売側デメリット:金額が「薄利多売」に陥りやすい

Bのお客様について

  • 販売側メリット:商品の金額などではなく、「欲しいものが欲しい」という動機のお客様が多い
  • 販売側デメリット:運賃やインターネットサイトの「レビュー」などで流されやすい

もちろん、注力していきたいお客様の客層としては「B」のお客様ではありますが、「A」のお客様も蔑ろにできません。と言いつつもやはりこれからもご愛顧いただきたい客層としては「B」のお客様というのが販売店側としての要望であることは否めません。 その「B」のお客様に対して、いつもの店売りのみで販売していくことも難しくなってきていると思います。


 皆様が簡単にお使いいただける「ホームページ」などもご用意しております。もちろん、自店様で前もってご用意頂いているホームページを優先してお使いになって頂いてもいいと思います。 店舗での販売に併せて「ホームページ」を活用し、お客様に「商品のアピール」を行っていきたいとも考えております。


そして、最大の課題としては「ホームページ」のメンテナンスにあるのではないでしょうか?

その主な問題点として、以下の内容が挙げられます。


  • 事案1:ホームページを自店で用意しているが、日々の業務過多によりホームページ内容の更新がなかなかされていない場合が多い
  • 事案2:ホームページに商品掲載をしている場合、店内在庫とリンクさせる更新に時間がかかってしまう、もしくは手間がかかる
  • 事案3:ホームページという概念がそもそも今までなく、不安点が多々ある。

 「事案1」に関しましては、やはり従業員数や配達業務員数などの兼ね合いで、両立させることが非常に難しいと思います。そして最も着目すべきは「事案2」と「事案3」ではなかろうかと思います。

事案2」につきましては、しっかりした商品をリアルタイムでお届けできる環境を用意して「お客様が購入をしたいとき」に「購入したい品物」を「購入したいタイミング」で行う環境が「常に整っている」というイメージを確立させる事が需要な要素となります。それに伴い固定客の獲得、安定受注の確保にもつながります。 そして、店内在庫とホームページ掲載商品在庫を完全にリンクさせることは現状難しいが、まずは「出来る範囲内」で行うことが重要だと思います。

事案3」につきましては、いまからでも決して遅くはありません。「効果は、始めてみないとわからない」ものです。何もアクションを行わないよりも、常に新しいアクションを起こしている事がお客様に伝わると、「ゼロアクション、ゼロ生産」よりも少なからず効果が表れると思います。

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③イベントを行う

お客様のご興味をこちらに向けていただくために、定期的に店内イベントなどを行うようにしていきたいものです。手法・商品ではなしに「イベントをやっている!」という事が最大の意義だと思います。 そして、月1回や月2回など定期的に「店内イベント」などを行い、それに伴う


  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(評価)
  • Action(改善)
  • Inform(情報共有)

をグループごとや店内できっちり行うことで、次の「Plan(計画)」を立てることが出来ます。

南出さんが「ハム販売」をお客様に告知され、想定以上の反響で販売完了された事例があり(販売個数を聞いてビックリ!)、この点についても「Plan(計画)」、「Do(実行)」、「Check(評価)」、「Action(改善)」(PDCAサイクル)がきっちり出来ていらっしゃることに感銘を受けました。今回の会議でこう言った事例を共有(「Inform(情報共有)」)していただけたので、私たちもあやかっていきたいと思いましたし、「会議に参加してよかった」と思いました。


④上記を行い、結果を全員で共有する。もしくは共有できる環境を小規模、大規模などの規模に応じて整える

やはり、上記の内容を少しずつでも進化させていくにあたって重要な要素としては「情報の共有」だと思います。「チームリーダー店や個店が一丸となり、個店の集合体として仕入れの共有」することも大事な要素ではありますが、それ以上に「最近、こういう事を行うと、お客様からの反応が良かった」または、「いつも同じ商品のみしか購入しないお客様でも、いろんな事に取り組んでいるお店作りのおかげで、お客様に他の商品に興味を示していただけるきっかけが出来た」などの情報共有があると、「販売に厚み」を持たせることが出来ますので、「情報はかけがえのない財産」という位置づけでみなさんでたくさんの情報共有が出来る場があると売上アップにつながるのではないかと思います。